日々、こんなことばかりを考えてるわけではないのですが
戦争の話が出たので、続けて。
戦争が、戦後の日常生活にも暗い影を落としてきただろうことに
思い至るところがあったので、書きます。
※ 専門家では、まーったく、ありません。
何となく、ですが
父親がひどい酒飲みで妻や子どもへの暴力がひどくて…
みたいな話を、ちょいちょい聞いてきたことがあった気がします。
あまり深くは考えずに
そういう家庭もあるのかー
何故、暴力を振るうんだろう?
くらいに漠然と捉えてきていましたが
しばらく前に
腑に落ちる感じがありました。
暴力を肯定してるわけではありません。
戦争を体験して帰ってきた男性たち、の話です。
原宿カウンセリングセンターを開業した1995年から、アダルトチルドレンの女性を対象とするグループカウンセリングで、父親からの虐待経験を多く聞いてきました。今から思えば、彼女たちの父親は太平洋戦争から生きて戻ってきた人たちでした。軍隊の経験を語るわけではないけど、酒を飲むと妻や子どもにひどい暴力をふるいました。
2022年5月18日付け朝日新聞 家族の中にある支配 公認心理師・臨床心理士 信田さよ子さん より
1995年と言えば、かなり昔かもしれないけど
そう遠い昔でもない(ワタシからすると、ですが)…。
武田鉄矢さんがお父様のことをこのように話されていました。
目がギラギラしていて、不満があると恫喝(どうかつ)するような大声を出す。中国戦線の復員兵で、骨の髄まで軍隊に染まった人でした。戦後は不機嫌に生きていましたね。
~略~
子ども5人を抱えた月給1万円そこらの旋盤工なのに、給料をはたいてやけ酒をあおる。飲むと暴れてお膳をひっくり返すわ、鉄拳をふるうわ。包丁を持ちだして「飲んだオレが悪かった。切腹する」なんて言うから、みんなで止めて、母ちゃんはわんわん泣いて。
2023年12月10日付け朝日新聞 戦争トラウマ 武田鉄矢さん 聞き手・後藤遼太さん より
当時、こういった感じのご家庭がたーくさんあったんだろうと思います。
武田鉄矢さんのお父様がPTSDや依存症に該当するかどうかはちょっとわかりません。
戦争と精神医療の関係に詳しい中村江里・広島大学大学院准教授(日本近現代史)によると、断片的に残る軍の資料などから推測すれば、PTSD該当者を含む精神神経疾患の兵士は、戦時中だけで少なくとも数十万人に上ったと考えられるという。戦後に発症したケースも多いとみられる。
2023年12月10日付け朝日新聞 埋もれてきた心の傷 より
我が実家は、ワタシの祖父が29歳で戦死(父方)
母方は病死していて
幸か不幸か、こういった状況にはありませんでした。
各個人の元々の性質もあろうかと思いますが
戦争の極限状態を経験した方達のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と
その家族が負うストレスや傷はひどいものだろうと
ワタシは想像することしかできません。
例えば、アルコールを飲んでいる時だけ
ツライ記憶から少しだけでも遠ざかることができたのだったとしたら?
依存症について、こんな記事を読んだことがあります。
米国の精神科医エドワード・カンツィアンが提唱した「自己治療仮説」。依存症の本質を快楽でなく苦痛ととらえ、苦しみを酒や薬物で緩和(自己治療)する病気とみる。「快楽は飽きる。でも、苦痛の緩和は、苦痛が強ければ強いほど飽きることがない」。
2023年5月1日付け朝日新聞 依存症「つながり」予防・回復 精神科医 松本俊彦さん談 聞き手・永田豊隆さん
フラットな状態から快の方向を求めての依存ではなく
耐え難い苦痛をフラットに近づけようとする為の依存行動。
苦痛が強ければ強いほど
それから逃れたい気持ちはなくなりにくい…。
依存症にも様々な種類があり、その名が示す通り、仮説ではありますが。
今現在も世界の戦地においては現在進行中の話なのだと思うと
本当にツライことだな~と思います。
やっぱ、単純だけど、単純に
戦争はイヤだ。
で、終わろうかと思ったけれど
最後に希望。
「依存症の予防も回復も、人とのつながりが大事」と松本さん。酒や薬物をすぐにやめられなくても、まずはつながりを保ってほしいという。
2023年5月1日付け朝日新聞 依存症「つながり」予防・回復 精神科医 松本俊彦さん談 聞き手・永田豊隆