エマニュエル・トッドさんの
『第三次世界大戦はもう始まっている』を読みました。
こちらの本です。
フランスの歴史人口学者・家族人類学者から見た近頃の戦争の話です。
印象に残ったところを中心に。
家族形態と社会の政治体制について
ちょっと主要テーマからはズレるかも、ですが。
「人種」「言語」「宗教」以上に、その社会のあり方を根底から規定しているのは、「家族」です。
『第三次世界大戦はもう始まっている』エマニュエル・トッド著 大野舞訳 文春新書 以下同じ
人種、言語、宗教の違いで主義主張? が異なりやすいのは
容易に想像できていたのですが・・・。
トッドさんの研究によると、世界は
①共同体主義的父権制社会:父親と妻帯の息子たちが同居する家族を基盤として
父権が強い社会。共産主義と親和性が高い。
ロシア・中国・ベトナム等
②核家族社会:いわゆる核家族を基盤とする。父権は弱い。
共産主義と親和性は低い。アメリカ・イギリス
③直系家族社会:父親と妻帯の長男? と同居する家族を基盤とする社会。
父権の強さは①と②の中間。
※明確に定義づけされてない部分もあり、ワタシなりの理解で書いてます。
に分類され、
共産主義・資本主義・民主主義等の政治体制と
家族形態には関連性がある、ということでした。
ワタシには新しい視点でした~。
トッドさんは、日本を③に分類していましたが
一応②に近づきつつありますかね。地域によりますかね。
家族って個人から見て大事なものという認識はあったけど
社会から、といった大きな目線から考えても
大事なのかもな、なんてことを益々思いました。
「日本型福祉社会」って知らなかった - 好きに暮らす -now or never-
子どもに何らかの思想なりを植え付けるのに
最も影響力がありそうなのは家庭ですもんね。
某宗教団体が家庭・家族をものすごく重要視してる話とかありましたもんね。
自宅のソファーに寝転がっていた時に、まさに”啓示”のように「外婚制共同体家族の分布図」と「共産圏の地図」が、突然、重なって見えたのです。
※外婚制共同体家族=父親と妻帯の複数の息子が同居する家族ということなんだと理解してます。
トッドさんは、
それ以降、その直観が正しいかどうかを検証していった、とあり、
そっか、研究というのはそういう風に進んでいくんだな
と、何だかとても実感させられました。
ウクライナとロシアの戦争について
こちらの内容が本としては主要テーマ。
トッドさんの論調と、
日本でワタシの受け取っている一般的なそれには
かなり開きがありました。
そして、トッドさんの見解は
自国フランスでは受け入れられにくいだろう
とトッドさんご自身で感じてらしたようです。
日本でならば、ある程度冷静に受け止めてもらえるだろう
との判断で本書が出版されているようで、
そういうところ、日本よいな、と思いました。
様々な意見が除外されないって、
なかなかまとまりにくくもなって
決断が難しくなるけれど、
でも、自由に(と言ってもワタシは気を遣ってしまいますけど)
意見が言えるのは、やっぱりよいなとワタシは感じます。
ものすご~く遅まきながら
最近世界史に関して少しずつ本を読んだりしています。
そういったことで得た知識も考え合わせていって、
どんな風に考えたらいいのかな~と考えています。
迂闊なことも書きにくいし、意見がまとまってもいないので、お茶を濁しておきます。
国家は戦争をしていたり支援していたりしていても
市民レベルでは、
どの国も、性格のよい、優しい人は多いだろうハズなのに。。。
報道は、たとえ悪意はなかったとしても
意図的ではなかったとしても
常に編集者による偏りができる、
ということは考えておかないといけないな、
とも改めて思ったのでした。
2国間のみならず
いろんな国の利害関係が絡んできて
外交って難しいのだな、と今更ですが・・・。
ともかく、いろいろと考えさせられた本でした。