オデッド・ガローさんの
『格差の起源』を読みました。以下、メモ。
こちらの本。
物心ついた頃からのワタシの素朴な疑問
『何で、物価が国によって違うの?』
に少し答えてくれたような本。
結論めいた部分の引用。
1人当たりの所得の2010~18年の平均に表れた繁栄の国家間格差のうち、原因がわからない部分の約4分の1は、社会の多様性に帰せられる可能性がある。比較のために言えば、同じ方法を使うと、格差のうち、地理と気候の特性で説明できるのはおよそ5分の2、病気の蔓延しやすさでは約7分の1、民族や文化の要因では5分の1であり、政治制度で説明できるのは約10分の1だ。
『格差の起源』NHK出版刊 オデッド・ガロー著 柴田裕之監訳 森内薫訳 以下同じ
地理・気候特性:約40%
病気の蔓延のしやすさ:約14%
民族・文化要因:約20%
政治制度:約10%
原因がわからない部分は約16%以下で
16%と仮定すると、社会の多様性要因:約4%
となるとのこと。
地理・気候特性の影響は大きいのだなー。
多様性の話から。
すでに存在している水準の多様性を最大限に生かすことを目的にした教育政策を実施すれば、多くの成果があられるだろう。多様性が非常に高い社会はそうした政策を通じて寛容な心を育み、差異を尊重することをめざす。とても均質な社会の場合は、新しい考えを受け入れることや、物事を鵜呑みにしないこと、現状に満足せずに進んで改革を行うことを奨励する。
日本では少子化が問題視されてるけど
世界的に見れば人口増加のほうもまた問題になっているわけで。
技術革新は化石燃料への依存から環境に優しい技術への移行を促し、出生率の低下は人口が環境にかける負荷を軽くし、さらなる経済成長を生み出す。~途中略~
政策や構造のなかには、全世界での男女平等や教育の機会拡大や避妊法の普及を促進し、世界中の出生率の低下につながるものがなければならない。~途中略~
もし私たちが気を緩めずに適切な資源を投入することができれば、進歩の時代に華々しく解き放たれた人類の驚くべき技術革新力は、出生率の低下と相まってーーそれらはどちらも人的資本の形成によって促進されるーーこれから必要になる画期的技術の時宜に適った発展を可能にし、今後の数世紀で、この気候危機を薄れゆく記憶に変えるはずだ。
ワタシが普段勝手に感じている世間からの雰囲気に比べると
楽観的な意見のようにも聞こえるけど
そのように解決されればよいなぁ。
人的資本の形成というのは、ワタシの言葉で言いかえると『教育』。
家族の絆という視点があって。
核となる家族の絆が強いと、社会への信頼や政治参加や、職場での女性の地位、地理的な流動性の水準に悪影響が出る傾向が確かにあるようだ。
家族の絆が強いのは
よいことのようにワタシはこれまで思ってきてたけど
確かに。
家族の絆を最重要視するなら家事・育児・介護は家族でやるのが
一番安心できる、という話になる。
それらを家族ではなく社会(家族以外の他者)に任せる、というのは
社会を信頼してないとできない。
リアルに自分が思ったことがある…。
どう考えるのが良い悪いではなく
0歳児を例えば保育園に預けるって
保育園を信頼してないと預けられないなーって。
子ども全般に対してではなく
こと我が子の育児に限って言えば
不遜と言えば不遜な言いかただし
間違っているかもしれないけど
自分をいちばん信頼してた、とも言える…。
そして、男女平等を進めれば少子化は解決される
みたいな論調を聞くことがあるけど
本当にそうなのか? という話。
男女の賃金格差の減少は、人的資本の投資利益率上昇によって引き起こされた出生率の低下をさらに促進した。
男尊女卑は嫌だけど
どう生きるのが幸せなんだろう?
まとまってないけど、とりあえず。