加谷珪一さんの『貧乏国ニッポン』を読みました。
こちらの本です。
以前「老後は物価の安い国に移住するか~」などと
オットとジョークまじりに話していたことがありました。
それがしばらく前から、
日本のほうが物価、賃金共に安い国になりつつある、
というのを聞きまして、興味があって読んでみました。
日本での物価自体は勿論高くなっているので
それ以上に諸外国の物価が高くなっている為、
相対的にみれば物価が安くなっている、という意味です。
例えば、日本のディズニーランドの入園料、
100円ショップのダイソーの値段は
世界中で最安値なんだそうです。
日本以外の先進諸外国は物価も上がっているけれど、
それ以上に賃金が上がっているので、
暮らし向きは豊かになっている中、
日本は、物価が上がっているのに賃金は増えずに
生活は苦しくなっているようです。
過去30年間、実質賃金が、
先進諸外国が1.3~1.5倍ほどに増えている中、
日本はほぼ横ばいと、この本では書いてありました。
理由は
身も蓋もないのですが、日本企業の競争力が下がり、経済成長できていないことが最大の原因です。
『貧乏国ニッポン』加谷珪一 幻冬舎新書 以下同じ
1990年代の後半あたりからイノベーションが停滞し、卓越した製品やサービスを開発できなくなっていることが原因です。
日本初の優秀な論文数も減り、
教育にかける公的なお金もどんどん減ってきているそうで、
ますます先細りの可能性があるようです。
説得力あるかも~と思った部分です。
アベノミクスは量的緩和策を中心とした金融政策、小泉政権時代は規制緩和を軸にしたサプライサイドの経済政策、橋本・小渕政権時代は大規模公共事業を中心とした財政政策となっており、民主党時代には目立った経済政策がありませんでした。つまりこれら4つの時代を見れば、経済学の教科書に出てくる主要な経済政策が、すべて出そろっていることになります。
各政権における平均GDP成長率(四半期ベースの実質成長率を年率換算)を比較すると、〜略~
結局のところどの政権でも似たり寄ったりの成長率だったと思ってよいでしょう。
つまり、どの政策でも、あるいは(民主党時代の)何もしなくても
結果はあまり変わらなかった・・・。からの、
市場メカニズムに沿って自ら新陳代謝するという企業活動が阻害されており、それに伴って消費者の行動も抑制されていることが日本経済の根本的な問題です。最終的にこの状況を打破できるのは政府ではなく、企業の経営者であり、私たち消費者自身です。
その上で、政策ということに絞って考えるなら
有能な人物をトップに据えるための
メカニズムを強化する施策と
消費を促す為、将来不安を一掃する(公的年金)施策が重要、
と加谷さんは書いています。
また、
日本経済は輸出主導型ではなく内需主導型に移行すべきと
いう意見を提示していました。
日本は人口が減少していくので、今後、消費の絶対値もそれに合わせて低下することが予想されています。これは避けようのない現実ですが、それでも、一定以上の生活水準を保ち、同じ言語を話す1憶人の単一消費市場が存在している国というのは、世界を見渡してもそう多くありません。~略~
日本には投資収益を得るための莫大な資本蓄積と豊かな消費市場があります。日本は消費と投資で十分に豊かな生活を送れるだけのポテンシャルがあり、名実ともに消費国家・投資国家に向けてシフトしつつあります。
投資と消費で十分経済を成長軌道に乗せることができるはず、とのことでした。
とは言え、当面の ”安い” 日本で、
個人としてできる具体的なこととして、
①外国に投資する(外国で稼ぐ企業に投資する)
②外国で稼いで日本で暮らす
③外国にモノを売ることを考える
が挙げられていました。
再び、日本は国際競争力をつけることを目指しているのか?
国の政策、というのもあるけど、
確かに加谷さんが言うように、
各個々人がそれぞれの立場で持てる力を発揮していかないとな~、
と思ったのでした。
いち母親としても、とても勉強になりました。